非常に強い雨を長時間降らせる「線状降水帯」の発生や数年に一度の大雨「記録的短時間大雨情報」が連日、気象庁から発表になっています。雨の降り方が大きく変わる中、多摩川と野川が同時に氾濫すると85%が浸水するといわれる狛江市で水害対策は待ったなしです。
そんな狛江市内で先進的に防災に取り組むマンションがあります。狛江市内最大のマンション「グランドメゾン狛江」です。大規模マンション「グランドメゾン狛江」にお住まいの方はあわせて1500人に達します。一方で避難所に指定されている狛江市第一小学校のキャパは約500人。グランドメゾンの住民が避難を始めたら一小の避難所はすぐにパンクしてしまいます。(2019年の台風19号では狛江市内の4つの避難所が店員オーバーとなりました) そこで「グランドメゾン狛江」は2016年に防災会を立ち上げマンション独自で災害に対応する体制を作ったのです。
グランドメゾン狛江には独自の防災会があり映像制作に携わる業界の方も大勢住んでいらっしゃいます。防災会が制作した「今、備えよう」というDVDを拝見しましたが 大変わかりやすく「自助による自宅避難」がいかに重要かを呼びかけています。
防災会が対象にしているのは水害と首都直下地震です。全524世帯を8つのブロックに分け、さらに各ブロック内で班に分かれて行動します。市内で何が起きているのか?マンションの状況は?すべての情報は各ブロックに設けられる「ブロックステーション」に掲示する決まりになっています。コマラジが狛江市民の皆さんに放送を通じてお伝えしようとしていることがマンション内で完結しています。
また住民の方々が守るべき行動のルールを定めています。地震でマンション内の水道管などに損傷が起きた場合、上の階で「トイレ・台所・風呂・洗面所」で排水をすると下の階で「排水・汚水」が漏れてしまいます。そこで電力が復旧後、館内点検が完了するまで「トイレなどの排水は一切できない」とルールを定めています。また防災会で備蓄している非常食や水は発災4日後から希望者に配布する決まりです。それまで3日間は自分自身で蓄えた非常食や水で「自助」することを求めています。
それでもグランドメゾン狛江が「共助」できる食糧備蓄は「一人あたり3食」であり、その後は狛江市や東京都からの支援に頼らざるを得ないそうです。22日夜10時からの「コマラジステーション」にご出演いただいた防災会長の兼田英明さんは日常生活に戻るのが遅れる大規模災害の場合、公の支援態勢「公助」が必要。その提供態勢についての情報がほしいとおっしゃっていました。
狛江市内に住むすべての人にとって重要な「公助」。コマラジやこのサイトでは自助ではカバーできない長期化した「避難」時の「公助」についてフォローしていきます。
写真一番右にいらっしゃるのがグランドメゾン狛江防災会の兼田英明会長。グランドメゾン狛江には 防災会のほか理事会と自治会があり一番左に写っている厚東進太郎さんは防災対策をスタートされた頃の自治会長です。(左から二番目が筆者の小木哲朗。その隣がコマラジ「健やかラジオ」パーソナリティのみっちゃんです)
理事会と自治会そして防災会。3つの組織で防災へ独創的で充実した取り組みを行うグランドメゾン狛江は消防署や東京都からこれまで表彰を受けていらっしゃいます。狛江市にこのような組織があることを心強く思います。